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2015年11月 7日 (土)

田園の風景  ~稲刈りの様子から ~

「お米いつ出せるかな~」これが今年の三芳メンバーの口癖。7月下旬からの日照りで田んぼは水不足になり、地表にヒビが入らないように水の確保に奔走する毎日だった。それはヒビが入ると田んぼの水がどんどん減ってしまい、たとえポンプで水を入れても間に合わなくなるため。すると今度は8月下旬からの長雨…。水を抜かなければならないが、田んぼの表面のヒビが不十分な事が逆にあだとなり今度は水が抜けず、おまけに台風による強風で稲が倒れ田んぼにフタをしたような状態になり、よけいに中の湿気が逃げなくなる。しかし地主に田んぼの管理をまかされている大規模農家は管理面積が広いため、無理を承知でコンバイン(一度に刈り取りと脱穀をする大型機械)で刈り出したが、途中でもぐりかけてしまいやむなく撤収。このままでは稲が過熟になったり、芽が出てしまって質が落ちる可能性さえある。ちなみに我が家の稲刈りもやっと始まったが、1枚だけ水が抜けない田んぼがあるので頭がいたいところである。

コンバインはサイズも色々だが、大きいものは重量1tを軽く超える。もしも機械をもぐらせるような事があれば、引っ張り出すのも大仕事。そしてキャタピラの破損をはじめ色々な故障の原因となる。私達のような個人農家からすると、その部品の値段も目が飛び出るほど高く、もちろん小作料に上乗せして地主さんに請求する事などできないし、全て自分のふところからの出費となる。しかも修理している間に仕事はどんどん遅れてしまう。そう考えるとお願いしている地主さんの方が気が楽かもしれませんし、大規模農家も決して楽ではないようです。

そんな中、すでに刈取りが終わり二番(刈り取った株からまた芽がのびてくる事)の穂が出ている田んぼがある。それは人ではなく牛などの家畜のための米の収穫。とはいえ実際に牛に食べさせたいのはお米ではなくてワラだとの事。完熟したお米は牛が消化できないらしい。今年から青刈り(完熟前に刈ってしまう事)して家畜用の米を作ると国から多くの補助金が出て普通に米を作るより儲かるらしい。また田んぼをしっかり管理する必要もないので1割くらいの田んぼが切替わった。しかしそれには条件がある。一つは売り先との契約と販売実績を証明するものが必要。そしてそれ専用の新たな大型機械が必要になる。実際に見せてもらったが多分1千万円近いのではなかろうか。乳酸菌の容器が積んであったので、それで湿らせてロールの中で米粒を発酵させるのだろう。そして今年はそのために普通の米の流通量が減り昨年より米の値段が若干上がったとの事。今年のような長雨で心配しているのなら、青刈りしてしまった方が良いかもしれませんね。農家は生き残るのに必死。国の政策一つで農村の景色が一変するかもしれません。

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そういえば先日、トラクターで畑を耕していたら大きな鷹がやってきました。その鷹はトラクターを運転する私のすぐそばまで来て、畑にいるコオロギなどの昆虫を食べていました。昨年までのように稲刈りが順調に進んでいれば、田んぼに行ってヘビやネズミなどのもっと大きな獲物を狙うのでしょうが、今年のような不順な天候ではお腹が満たされないようで、慣れない手つき(手はありませんが…)で小さな虫をついばんでいました。しかし獲物が小さく、またすばしっこいので苦労している様子で、いつもは王者の貫録さえ感じさせる鷹もちょっと情けなく、またかわいくも見えました。この天候に悩まされているのは人間だけではないようです。そしてまたある朝に仲間からスクープの一報が…!それはイノシシが一回に7頭も捕獲できたとの事。カメラを持って写真を撮りにいきましたが、人間に例えると小学生くらいの年齢でしょうか。仲良く檻の奥の方に整列してこちらを見ています。小雨だったのでフラッシュを使ったところ光に驚いて大騒ぎ。「驚かせてごめんね~」とあわててその場を後にしました。農業従事者からしたら一番迷惑を受けている天敵そのものではありますが、あと数時間で命を絶たれるであろう14個のつぶらな瞳に見つめられ、なんだか複雑な思いでした。親のイノシシもさぞやさみしいだろうし、ましてやイノシシたちを殺さなくてはならない人の気持ちも穏やかではないはず。今年も陸上競技指導のため小学校に行きます。またそこでけがれの無い子供達に見つめられるのかな…(冷汗)。もうすぐ鶏の解体作業も始まりますが、その作業は全員が出来るわけではなく人により向き不向きがあります。全ての産業が同じかもしれませんが、それぞれが色々な仕事を担当して成り立っています。今回のイノシシの処分のように皆が避けたいような嫌な仕事もあります。しかし誰かが請け負ってくれています。そういう人がいる事、また色々なものを犠牲にしている事を忘れてはならないと思います。農業をやっていると、生きていくという事はそういう事だという事を強く感じます。そのなかには知らなくてもいい事もあるかもしれませんが、農業や食べ物などについてはこれからも出来るだけ目をそらさずにいたいと思います。

Photo_4

生産者番号 56番 八代弘樹


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