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2016年7月12日 (火)

ザリガニの墓場  ~ 米作りも楽じゃない! ~

田植えが済んでから約2ヶ月、一般の田んぼの稲は即効性のある化学肥料を吸収して立派に成長し、上から見下ろすと田んぼの水面が見えないほどになっているところもある。しかし私達の稲は…というと、ようやく少し成長してきたなと感じる程度。そして毎年の事だが、場所によっては、ザリガニの餌食になってしまっている。しかし私もやられてばかりではいられない。データ農業を活かし、ザリガニの量をコントロールしようと奮闘している。ザリガニは主に田んぼの周囲に穴を開け、そこを住処にするので、ザリガニが多い田んぼは、産卵前に住処の前に板を差して、自由に田んぼと行き来できないようにした。ちなみに米の過去平均の収穫量を100とすると、昨年は80くらいで、しかも1枚の田んぼはザリガニ被害が特にひどく、初めて共済金をもらうはめになった。

日本で米作りをする(一定の面積以上が対象)時は必ず保険(共済)に入るよう法律で義務付けられている。ちなみに麦も同様である。しかし通常、何か(害虫、病気など)の被害に遭った時に共済金を受け取るためには、空中防除やその他指定された農薬を使って自らも防ぐ努力しなければならず、私達のグループのように無農薬栽培ではその条件を満たす事ができないため、今まではただ支払うだけで受け取った事は無かった。しかし昨年はザリガニによる被害が大きく、知り合いからダメ元でいいから被害届を出してみるよう勧められ届けを出したところ、驚く事に共済金を受け取る事ができた。その理由は、ザリガニ駆除用の薬は市販されていないからである。しかし被害がすごかった田んぼは収穫量が半分以下。そして見た目もひどいため、私が無農薬で管理している事を知らない人が見たら「これじゃあ、稲がかわいそう。この人はお米作る資格ないね!」と思ったに違いない。田んぼの面積を減らそうか…などとも悩みながら半年を過ごした。しかし今年はというとその田んぼだけは完璧である。まあ全体としても昨年よりは収量は増えると思います。もちろん、毎年共済金をもらっていては、それがお目当てでは…と言われてしまうので、あと収穫まで2ヶ月間頑張りたいと思います。

とはいえ今年も現在、田んぼの管理に四苦八苦している状況。田んぼもそれぞれ特徴が異なり、水が漏れたりする田んぼは、水が無くなるとすぐに草が生えてしまうので、頻繁に水を入れなくてはならないし、かといって深水にするとザリガニが喜んで働きすぎてしまう。一度草の芽が出ると、草取りをしなければ雑草は枯れない。またその田んぼに住み着いているザリガニが多いと稲がやられ、逆にザリガニが少ないと水を深目にしても水が透き通ってしまうので、日光が地表まで届き草の芽が出やすくなってしまう。ですから本当に目が離せない。きっとザリガニなどから見たら田んぼは海のように見えるだろうし、もしかしたら田んぼの水も月の引力の影響も受けていたりして…などとくだらない事も時々考える。そして稲の株がある程度の大きさになると地面に根をしっかり張って、他の草を制圧するので一安心!その時期まで、順調にいくとあと半月くらいでしょうか。

しかし、他の田んぼに目をやると、それはそれで目を覆いたくなる光景が…。田んぼ一面にザリガニが真っ赤になって浮いている。一般の農家も私達と同様にそれぞれが研究していて、収穫量を上げようと農薬や化学肥料を毎年変えながら頑張っている。農薬や化学肥料は毎年新製品が開発され、農業新聞を見ていると「ご愛用の農家の声」と共に宣伝記事が載っている。きっとたまたま色々な農薬を試している中でザリガニにも効く薬を探し当てたのだろう。営農集団(個人もいるが)の人は私達の数十倍の広さの田んぼを管理している。もちろん田んぼ一枚一枚の水の深さなどいちいち管理できるはずもなく、水を張ってザリガニと雑草に効く農薬を一度使用すれば、その田んぼはそのシーズン、雑草やザリガニに悩まされる事はない。しかしその田んぼを良く見ると、死んで真っ赤になったザリガニをおたまじゃくしが食べているではないか。おたまじゃくしがたくましいのか、または天敵であるザリガニにだけダメージを与える農薬がすばらしいのか…(冷汗)。今年も田植え後に田んぼに入ってもがいているのは無農薬で米作りをしている私たちだけのようだ。

Photo_3

また農業新聞に目をやると、米どころである新潟では雨が少なくまだ田植えができない場所があるとの事。広い田んぼに植えてもらえないかわいそうな育苗箱の中の苗が黄色くなってしまっていた。暖冬により雪が少なかったため、雪溶け水が極端に少ないのも原因の1つだそうだ。やはりそれぞれの季節がそれらしい気候でないと四季に合わせて農業を行っている人たちも苦労する。そう考えると私達のように色々な作物を育ててリスク分散させている農業は手堅いのかもしれませんね。農業をとりまく環境は変化していきますが、これからも我々は雑草のごとくしぶとく生き抜いていこうと思います。

生産者番号 56番 八代弘樹


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コメント

 お米の袋、別の農家の方のになると、子供達が「あれ?今日の味が違う」と言います。特に新米を送って頂いた時は、全然違いますよね。もちろんそれまでも美味しく頂いているというのに。

 今年もあと少しで収穫ですね。まだまだ台風とか気が抜けないと思いますが、…わくわく。

投稿: 萩原 祐美子 | 2016年7月26日 (火) 19時32分

私もいつも我が家のお米しか食べていませんが、うっかり子供たちに送り忘れて、子供たちが一般の米を買って食べた時に、味が全然違うと言われ驚きました。
今まではあまり感じませんでしたが、お互い味の違いのわかる子供に恵まれて良かったと思います。
しかも、別の農家になった時にもわかるなんてすごいです。確かに肥料分が多かったり、少なかったり、また土壌の違いでお米の味は大きく変わりますので、お子さんの舌は正しいと思います。
きっと我が家の米はザリガニの味がすると思いますよ…なんちゃって!

投稿: 八代弘樹(56番) | 2016年8月 4日 (木) 22時25分

 お仕事お忙しい時期なのに、いつもお返事有難うございます。

 肥料分の多少や土壌の違いでお米の味が違うんですね。そんな繊細なものに農薬使ったら、味が落ちて当然かも。色々勉強になります。

 お子さん達、味の違いに驚かれたでしょうね。私も実家を離れた時に、お店で買った野菜たちが味がしなくて、私の料理の腕が更に落ちたのだと暫く悩みました。

 恵まれた自分の環境にただただ感謝です。いつも美味しいお野菜やお米、卵やお肉をどうも有難うございます。

投稿: 萩原 祐美子 | 2016年8月17日 (水) 07時51分

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