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2016年8月 6日 (土)

山の神様への感謝と恵みの水  ~ 映画「Wood Job(ウッジョブ)」の紹介 ~

今回は、久しぶりに映画の紹介です。タイトルを聞いて想像がつくと思いますが、「Wood Job(森の仕事)」と「Good Job(いい仕事)」とを発音が似ているので掛けているのだと思います。

以前にも紹介した事があると思いますが、我が家は昔、山の木を伐採して生計をたてていました。しかし輸入木材が増え、国内産の木材価格が下落。その結果、山の仕事に携わる人が減り、山が荒れ、良質の木材が減り悪循環となってしまったようです。そして、しかたなく我が家も山から田畑の仕事に重点を置くようになりました。

山の仕事というのは、皆さんが考えているよりも大変で、しかも命に関わるような危険な仕事。私も小さい頃から両親に何回か山へ連れていかれました。私が小学生くらいの時には2本の太い木を支柱にしてワイヤーを張り、ロープウェイのようにして山の上から木材を切り出していました。そして私の担当は集材機(ワイヤーを制御するエンジン付きの機材)を操り、山の上からの父からの合図(トランシーバーで送られてくる)でワイヤーを巻きつけたり緩めたりする仕事でした。しかし、力のある機材でしたし、操作を誤ると怪我につながるので、かなり緊張していた記憶があります。ちなみにお駄賃は一回山へ行くと100円でした。また中高生時分だったか、父に連れられて山の斜面を登ると、父の山登りが早くて、運動部(陸上部)である私も追いつくのがやっとでした。早く登るコツはあるのでしょうが、その時に山の男に対する意識を持ったのかもしれません。

本来、木を使って家を建てる場合、その地区に生えている木を使うのがベストと言われています。ですから輸入材をそのまま使って作った家がその場所で長年もつかどうかは、皆さんもちょっと考えればわかると思います。木は苗を植えれば育つわけではなく、その土地の気候に適さなければ枯れてしまいます。またその後も苗木が育つまで何度も苗木の周囲の草木を刈ってあげなくてはいけません。そして枝も切り落とさないと節が多くなり価値が下がってしまいます。そして、木がある程度育ったら、真っ直ぐ伸びた木を残し、周囲の不要な木を切り倒します。これが間伐(かんばつ)と呼ばれる作業です。この時に倒される間伐材は立派な柱などには使えませんので、割り箸や楊枝などになるようです。

さて、映画のストーリーは、都会での就職に失敗した若い青年が、たまたま手にした林業雑誌の表紙に載っていたかわいい女性目当てに、1年間の林業研修を受けるという話です。最初は山を馬鹿にしていた青年。しかも厳しい研修の日々に逃げ出そうとしたりします。しかし様々な奇跡も重なり、次第に山の魅力にとりつかれていきます。そして、たまたま山の神にお供え物をしたのがきっかけで、山の神に導かれ活躍する場面も…。その地区の巨木はとても品質が良く、価値があるので1本数十万円の高値がつくのですが、木の成長は遅くその大きさまで育つのに100年近くかかります。ですから木を切り出した時には、山の神、そしてその苗木を植えて管理してきた先代、先先代に感謝します。そしてまた、子や孫の世代のために必ずまた苗木を植えて手入れを行います。

Wood_job

国の借金や原発もそうですが「今が良ければそれでいい」という考えが先行し「子孫のために今この時代に少しくらい我慢しようじゃないか」という考え方は影をひそめています。そんな現代にあって「未来の世代のための仕事」というのは本来人間が持つべき大切な考え方だと思います。社会科で習った第一次産業である「農林業・水産業」はそういう考え方をベースとしています。水産業も乱獲を避けたり、稚魚を育てて放流したり、また養殖なども生態系を崩さないための1つの対策といえます。また、以前にもお話した事がありますが、山からのミネラルで田畑が潤います。ですから、全国の山奥の秘境などで、天水(雨水や小川など自然の水)だけで育った米は貴重で高価で流通しているという話を聞いた事がありますが、その森が元気であれば、人が肥料を与えなくても自然のミネラル分だけで、元々肥料分をあまり必要としない稲はある程度育つのです。しかし現在は農薬や化学肥料の乱用で海へ流す水を汚してしまっているといえます。

この映画ではそういう雄大な自然の重要性と人間の心のあり方という部分をコミカルタッチで描いています。お祭りで男性が褌(ふんどし)一丁で御柱を切り出すシーンは本当にカッコいいと感じました。また、その御柱をレールの上を滑らせてゴールまで届けるシーンはCG(コンピュータで作り上げたもの)ではあるでしょうが、迫力満点で私も久しぶりに大笑いしてしまいました。全国各地で繰り広げられているお祭りはその地区の生活に密着していて、それを支える人達の気持ちが少しわかった気がしました。自然に対し「大地をお借りして野菜を作らせてもらい、いつでもお返しできるように大地を汚さない」これが本来の農業であったと思います。

こちらの地区の夏祭りも近づいています。五穀豊穣はもちろんですが、どうか無事に終わるよう神様に祈りたいと思います。

生産者番号 56番 八代弘樹


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